薬物治療によって、片頭痛発作の予防や急性期の症状改善がなされていますが、効果が限定的なことがあります。
今回は、非薬物療法として、鼻から冷たい空気を吸う装置で、片頭痛発作の症状が改善するかを調べたアメリカ頭痛学会での発表( American Headache Society (AHS) Annual Meeting 2023)についてご紹介します。
24人の片頭痛発作の診断を満たす24人が対象となり、実際の装置による治療を行うグループと偽の刺激を受けるグループに分けられました。
用いられたのは“クールスタット CoolStat Transnasal Thermal Regulating Device”という装置で、患者さんは発作の時に、クリニックの装置を用いて鼻から冷たい空気を吸うようになっていました。
携帯型ではなく、発作の時にクリニックに行かなければならない点が、研究参加の障害になった可能性について言及されています。
結果として、以下の内容が示されました。
・冷気が低流量(6L/分)で、88%が2時間後の痛みの軽減を実感し、そのうち44%が痛みがなく、全員で頓服薬の使用が必要ありませんでした。
・不快な症状の軽減について低流量(6L/分)の方が、中・高流量(18Lや24L/分)よりも効果が大きくなっていました。
・鼻腔内の不快感が副作用としてあげられました(低流量で11%)。
要約:『片頭痛発作の軽減に冷気を鼻から吸う装置が有用である可能性がある』
しくみとしては鼻腔近くの神経節の刺激が考えられているようです。
不便さが気になるところですが、今後携帯型が開発されると実用の可能性が出てくる装置であると思われました。
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