少なくとも日本においては初期の統合失調症(いわゆる“ファースト・エピソード”)においても、薬物療法が主体の治療が行われています。
むしろ、初期の段階で薬物療法によって精神症状を早期に軽減することが重要視される傾向にあります。
今回は、少なくとも初期(最初の6ヶ月)で比べたときには、薬物療法の有無によって症状(遂行機能)は変わらないかもしれないという内容をご紹介します。
Psychosocial Intervention With or Without Antipsychotic Medication for First-Episode Psychosis: A Randomized Noninferiority Clinical Trial
心理社会的介入に薬物療法を加えた場合とそうでない場合の効果について
15歳から25歳の症状が出現して間もない時期(ファースト・エピソード)の90人が研究の対象となりました。
以下のようにグループ分けをして、6ヶ月経過した時点の遂行機能を中心とした症状の変化を調べました。
①認知行動療法的ケースマネージメント:cognitive-behavioral case management(CBCM)+偽薬
②CBCM+抗精神病薬による薬物療法
結果として、遂行機能の評価において(Social and Occupational Functioning Scale :SOFAS)、6ヶ月の時点における違いは統計的にありませんでした。
つまり、モニタリングと心理社会的介入を行っている環境においては、薬物療法の有無によって治療の効果に大きな差がないということが示されました。
この結果をみる上で、まず全く症状を放置するのではなく心理社会的介を行っていることと、初期の段階での少数例での結果であるという点に注意が必要であると思われました。
#統合失調症
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