向精神薬に対する有効性を予測する時に、家族内で同様の症状に薬剤が有効だったかという情報が参考となります。
今回は、双極性障害の薬物治療において重要な位置を占めるリチウムに対する反応性をどのように予測できるかを調べた研究をご紹介します。
Ancestry component as a major predictor of lithium response in the treatment of bipolar disorder
双極性障害のリチウム治療においては祖先の資料が大きな予測因子となる
双極性障害に罹患した172人についてリチウムへの反応性を予測できるか、マシン・ラーニングによって、以下の二つのモデルを用いて分類を試みました。
1)人口統計学的データ+臨床経過
2)人口統計学的データ+臨床経過+祖先資料(人種や民族に関する資料)
上記のうち、2)の場合の方が正確にリチウムの反応性を予測しており(感度84.6%、特異度93.8%)、具体的にはアフリカ系アメリカ人の改善が大きくなっていました。
臨床経過(罹病期間、躁とうつ症状それぞれエピソード数、全エピソード数)が予測に影響を与えていました。
要約:『双極性障害のリチウム治療には、人種の違いや臨床経過による影響が考えられる』
予測は人種によって異なるとのことですが、日本人における予測のための枠組みが提示されると臨床的判断に有効と思われました。
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