抗うつ薬を2剤以上使用して抑うつの改善を認めないうつ病に対して、(疾病の名称として確立しているわけではないのですが)“治療抵抗性うつ病 treatment-resistant depression (TRD)”という言い方をすることがあります。
最近、マジックマッシュルームの成分であるシロシビンの抑うつに対する効果が研究されており、TRDに対しても有効ではないかという議論があります。
今回は、ヨーロッパで行われた学会 the European Psychiatric Association (EPA) 2023 Congressでの、合成シロシビン(COMP360)についての臨床研究をご紹介します。
TRDと判断された233人(平均39.8歳、59%が女性)が試験の対象となりました。
準備のための心理的セッションの後、参加者を薬剤の用量ごとに3グループ(1㎎、10㎎、25㎎)に分けて、複数の尺度the Montgomery-Asberg Depression Rating Scale (MADRS) , Self Report (QIDS-SR-6) scale で有効性を調べました。
結果として、薬剤の投与量に応じて改善が大きくなる効果(用量依存性)が認められ、1回の投与で3週間後においても悲哀の改善等が持続していました。
要約:『合成シロシビンは、治療抵抗性うつ病に対してもうつの中心的症状を持続的に改善する可能性がある』
今回の試験では、明らかな副作用も認めず、TRDに対する切り札として今後の検証が期待される内容でした。
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