出産を控えた母親と夫に関して、子どもの泣き声に対する反応と、養育に関する問題との関連性が指摘されています。
論文の導入でも触れられているように、これまで母親に関しては一定の知見が得られていますが、ほとんど父親に関しては研究が行われていません。
今回は、もうすぐ出産を控えた家庭の父親について、子どもの泣き声を聞いた時の脳の反応をホルモンの視点から調べた研究をご紹介します。
もうすぐ父となる男性はどのように幼児の泣き声に反応するのか? 脳と行動、テストステロンの反応についての検査
もうすぐ父親となる予定の男性について、(検査によって集められた人数は異なりますが)30~40人分の自己申告レポート、握力の反応、脳の画像データ、男性ホルモン(テストステロン)のデータが集められました。
ホワイトノイズと呼ばれる、特に情報として意味をなさない雑音と子どもの泣き声を聴いて、その反応の違いを脳の画像データや握力の変化で調べました。
結果として、以下のような内容が示されました。
①テストステロン濃度の高い場合の方が、脳の一部で子どもの泣き声に対する反応が強くなっていました。
②握力の変化については、ホワイトノイズと泣き声とで変化はありませんでした。
つまり、ホワイトノイズと泣き声とを識別し、意味を見出す脳の反応には、ホルモンが一定の役割を果たしており、その濃度レベルによって反応性が異なる可能性がありそうです。
男性の養育のあり方に、ホルモン濃度の影響が示唆される内容でした。
コメント