統合失調症では、服薬を自己判断で中止することで、しばしば再発・再燃を繰り返すことが知られています。
そのような服薬中断によるリスクを軽減する目的で(他にも血中濃度の安定による効果の違いなどを求めて)、1回注射すると効果の持続する注射剤( long-acting injectable : LAI)が使用されることがあります。
今回は、LAIの治療中断を防ぐ効果について調べた研究をご紹介します。
Efficacy of oral versus long-acting antipsychotic treatment in patients with early-phase schizophrenia in Europe and Israel: a large-scale, open-label, randomised trial (EULAST)
イスラエルとヨーロッパの15ヵ国を含む多施設(総合病院、精神科クリニック)における研究で、18歳以上の発症初期の統合失調症患者511人が対象となりました。
LAIを使用した場合と、通常の内服薬を使用した場合で、治療持続の効果を19か月の治療中断率で比較しました。
結果として、中断の基準を満たした割合で比べると、内服 71% vs LAI 64%で、LAIの場合の方が中断の割合が少なくなっていましたが、統計的な差異は明らかではありませんでした。
要約:『統合失調症の治療において、持効性注射剤 LAIを使用した方が、治療継続が保たれるという証拠はない』
治療中断の割合という比較では上記のような結果でしたが、比較の仕方や他の尺度ではLAIの有利な点が示される可能性があるので、LAIそのものの有効性についての結果ではないことに注意が必要であると思われました。
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