#うつ病 #抗うつ薬
日本で使用される抗うつ薬の中で、乳汁分泌の副作用が認められるものにスルピリドという薬剤があります。比較的古くからある薬剤ですが、現在でも良く使用するため、特に一定以上の量を内服して頂く場合には注意が必要です。
しかし、比較的見過ごされやすいものに、抗うつ薬の中でも最も頻用されるSSRIやSNRIにも、ホルモンに関連した副作用があり、男性の女性化乳房もその一つです。
今回はSSRIの中でも海外でしばしば用いられるシタロプラム(セレクサ)による女性化乳房の症例をご紹介します。
シタロプラムに関連した女性化乳房
44歳の男性でアルコールの乱用を合併されている方でした。膵炎の治療目的での入院中、強い不安を主訴として、精神科に紹介されました。その後、退院後に外来でシタロプラムをスタートし、20mgで5ヶ月間の内服を続けた時期に女性化乳房を合併しました。最初は右乳房の痛み、腫瘤の触知、性欲の低下、勃起障害が出現し、腫瘤の存在から乳がん等が疑われていました。精査の結果、乳がんを疑わせるような所見や他の異常もなく、他の薬剤を服用していなかったことより、シタロプラムによる女性化乳房が検討されました。シタロプラムを中止し、エスシタロプラム(レクサプロ)に変更したところ、間もなく女性化乳房やその他の症状は軽快しました。
SSRIによる女性化乳房についてはその発症の仕組みに諸説があり、まだはっきりしていません。一説にはエストロゲン(女性ホルモン)/テストステロン(男性ホルモン)の比に対する影響によるものと言われています。
上記のように一見、腫瘍性病変やホルモン異常を疑う等が初期の対応としてとられやすく、すぐには抗うつ薬によるものという発想が出てきにくい副作用ではないかと思われます。
性欲の低下や勃起障害などの重要ですが、ご本人から訴えにくい症状も伴うため、治療者が敏感に察知する必要性が高いと考えました。
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