うつ病に対する標準的な治療として、抗うつ薬が使用されますが、その効果の程度には大きな違いがあるように感じます。
それぞれの医師で主に使用する抗うつ薬は異なると思われますが、比較的よく使われるものだけでも10種以上存在し、これらの使い分けも難しいところです。
今回は、抗うつ薬の効果の違いに関して、複数の研究結果を分析したメタ・アナリシスをご紹介いたします。
個人間における抗うつ薬の効果の違い
条件を満たす87の研究(17,540人の参加者を含む)が分析の対象となりました。
結果として、以下のことが示されました。
①効果の変動の幅は14%
②うつの重症度は効果に影響しない
③ノルアドレナリンか関連する薬物(SNRI等)の方が他の薬剤より変動幅が大きい
④出版の年度が最近であるほど変動の幅は小さい
②については、軽度のうつでも抗うつ薬が効かず長引く場合は多く、臨床的な感覚と一致するように思われました。
③に関しては、SNRIは頻用されるので、当たり外れの大きさに関する認識は重要かもしれません。
今後も、抗うつ薬の特性に関する理解を深める必要性を感じました。
#うつ病
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