めまいに対して、抗不安や睡眠の作用を持つベンゾジアゼピン類が使われることがあります。
実際の臨床で処方した場合に、ストレスの関与しためまいに対して「良く効いた」という感想をお聴きすることが多いように思います。
今回は、めまいに対するベンゾジアゼピン類や抗ヒスタミン薬の効果について調べたメタ・アナリシス(複数の研究を分析・統合した論文)をご紹介します。
急性のめまいに対するベンゾジアゼピン類または抗ヒスタミン薬の有効性
分析の主要な目的であるベンゾジアゼピン類と抗ヒスタミン薬の効果に関して、7本の論文(802人)が分析の対象となりました。
急性のめまいに対する効果について、投与後2時間の効果(100ポイントまでの視覚的尺度VASで評価)の違いを調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
・ベンゾジアゼピン類と抗ヒスタミン薬では、抗ヒスタミン薬の方が明らかに急性のめまいに対して有効でした(VASで16.1の差)。しかし、抗ヒスタミン薬は他の薬剤(オンダンセトロン、ドロペリドール、メトクロプラミド、ピラセタム)より有効ではありませんでした。
・1週間あるいは1ヶ月の使用では、ベンゾジアゼピン類も抗ヒスタミン薬も両方とも偽薬と差がありませんでした。
要約: 『急性のめまいに対しては、ベンゾジアゼピン類よりも抗ヒスタミン薬が有効であり、ベンゾジアゼピン類と抗ヒスタミン薬の両方とも長期の処方には向かない』
少なくともベンゾジアゼピン類をめまいに対して最初に処方するのは再検討するべきであると思われました。
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