高齢者において高頻度に認められる脆弱性について「フレイル(frail):脆い」(日本老年医学会雑誌「フレイルの意義」)という言葉が使われることがあります。
専門的には定義の難しい言葉ですが、年齢を重ねていくに従って生じる心身の「脆さ」について言及する時に最近良く聞かれます。
その「フレイル」の特徴の一つに筋力の低下がありますが、握力の低下がその指標として用いられることがあります。
今回は、握力の低下が筋力の低下だけではなく、認知機能の低下も示すのではないかという内容の研究をご紹介します。
Handgrip Strength Asymmetry and Weakness Are Associated with Lower Cognitive Function: A Panel Study
握力の非対称性低下は認知能力低下と関連する
65歳のアメリカ人17,163人が調査の対象となりました。握力の低下を男性で26Kg未満、女性で16Kg未満、非対称性を10%以上の開きと定めて、認知機能と併せて調査を行いました。
結果として以下の内容が示されました。
①握力低下と非対象性があった場合には、(低下と非対象性がない場合と比較して)1.95倍認知能力低下のリスクが高くなっていました。
②利き腕の方が大きく低下するタイプの非対称性が出るとリスクが特に大きくなっていました。(2.10倍)
つまり、特に利き手の片方だけ握力が落ちるようだと、認知症に注意したほうが良いということになりそうです。
上記のような違いが単なる関連なのか、間接的なものも含めてなんらかの因果関係が存在するのかまでは分かりませんが、調べるのが簡便でリスクの差が大きいので、一定の目安になりそうな指標であると思われました。
#認知症
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