新型コロナウィルス感染症の急性期から回復した後にも、精神神経領域で様々な後遺症が生じることが確認されています。
今回は、新型コロナウィルス感染症から回復して1年経過した後の脳の変化を調べた研究をご紹介します。
Persistent white matter changes in recovered COVID-19 patients at the 1-year follow-up
コロナウィルス感染症回復後1年における持続的な脳白質変化
2019年に新型コロナウィルス感染症に感染し、回復した患者22人と健常者21人が研究の対象となりました。
拡散強調画像 (Diffusion MRI)等、各種画像検査を施行し、感染症回復後1年の脳白質(神経線維の集まった部位)の変化と知能の変化(WAISを施行)を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
・放線冠や脳梁等の部位における水分の体積割合が低下していました。
・集中治療室を経験した例(感染症が重篤だった例)では脳梁における神経の走行に特徴がありました(“異方性fractional anisotropy”とい呼ばれる指標の低下)。
・知能の低下は明らかではありませんでした。
・入院日数が少ない場合やその後の経過観察が長い場合の方が、脳白質の異常は少なくなっていました。
要約:『新型コロナウィルス感染症回復から1年経過した後で、知能への影響は明らかではないが、脳の一部で何らかの異常が残存している可能性がある』
はっきりとした形で捉えづらい変化ですが、脳の客観的な変化として重要な所見であると思われました。
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