PTSDにしばしば合併する疾患として物質関連障害(アルコール等様々な物質に対する依存症)があります。
少なくとも飲酒を開始する時には、PTSDによる著しい不安などの症状に対する自己治療的な意味合いがあるとは思うのですが、PTSDの病態をより複雑にして治療が困難となります。
このような標準的な治療の効果を上げにくい病態に対して、暴露(あえて苦手な環境に自分を曝すことにより不安を軽減していく方法)と家族療法を組み合わせた統合的な療法(exposure-based risk reduction through family therapy :以下RRFT)が提案されています。
今回は、物質関連障害をともなうPTSDに罹患した思春期患者に対するRRFTの効果を調べた研究をご紹介します。
思春期における物質関連障害を伴うPTSDに対するRRFTの安全性と効果
物質関連障害を伴うPTSDに罹患した124人のPTSD患者(13~18歳)が調査の対象となりました。
18ヶ月にわたってRRFTを行った場合と通常の治療を行った場合に分けて比較しました。
結果として、RRFTを行った場合のほうが明らかに物質使用の日数が低下し、PTSD症状のうち回避と過覚醒が軽減していました。
また、一部で懸念されているような暴露によるPTSDの症状悪化も認めず、安全に実施できることが示されました。
複雑な病態に対する馴染みの薄い療法についての研究でしたが、病態に合わせたやり方を工夫する大切さと、思ったよりも暴露療法は安全な方法であることを感じました。
#PTSD #物質関連障害
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