診察場面で、頭痛のために眠れなかったというお話を聞くことがあります。逆に、眠れなかったら頭痛がさらに悪化する要素もあり、このあたりの関係は複雑そうです。
今回は、片頭痛がある場合の主観的睡眠の質や睡眠モニターを用いた客観的変化についてまとめた研究(メタアナリシス)をご紹介します。
偏頭痛がある場合の主観的睡眠の質と睡眠の構造について
32の研究が分析に含まれていました。このうち21の研究では成人の主観的な睡眠と頭痛の尺度を含み、その他成人や子どもの客観的な睡眠モニターの評価を含んだものも存在しました。
これらの資料を統合し、対象者を症状の違いによって比較する研究を行いました。
結果として、以下の内容が示されました。
①まず、片頭痛を伴う成人では主観的な睡眠障害が強くなっていました。(効果の量を示すヘッジのgという値は0.75)
②睡眠モニターによる分析では、成人と子どもの両方で、REM睡眠が減少しており、子どもでは全体の睡眠時間も低下していました。(ヘッジのgは-1.37)
つまり、“片頭痛のある人では自分で眠れていないという感覚が強く、REM睡眠の減少等、睡眠の構造的変化が起こるかもしれない”と言えそうです。
身体的症状がある場合には、その影響で睡眠の変化が起こることにも留意したいと思われました。
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