新しい機械学習の手法(いわゆる“ディープラーニング”など)によって、大量で複雑なデータをより柔軟に活かすことができるようになり、これまで不可能だった情報の活用が少なくとも部分的に可能にはなりました。
今回は、初めて統合失調症の症状が出現したと思われる患者さんを画像データから、機械学習を用いて、見分けることができるか調べた研究をご紹介します。
初発の精神病診断に機械学習と画像データを利用する
5つのデータセットに別れた956人(初発の統合失調症患者514人と対照としての健常者444人を含む)が調査の対象となりました。
これらの方たちにについて、様々なデータを従来の機械学習とディープラーニングによる処理に分けて、どの程度正確に、精神病と非精神病を判断できるかを調べました。
結果として、それぞれのデータを使ったときの診断の正確さについて以下のようになりました。
(1)表面積に基づく局所の体積と皮質の厚み:50%~70%
(2)ボクセル(体積単位)に基づく灰白質の厚み:50%~63%
(3)ボクセル(体積単位)に基づく皮質の厚み: 51%~68%
最も正確だったのは、(1)をディープラーニングで処理した時で、70%でした。
しかし、これらの処理は脳の広範な部位への応用も困難で、正確さも臨床的に応用できるレベルではなさそうです。
機械学習の新しい手法により確かにデータ処理の可能性は拡大していますが、人間のできなかった判断が容易になるという楽観視はできないと思われました。
#統合失調症
Comments