精神疾患でなくとも、癌などの重篤な病気について、自殺率が高まることが示されています。
また、パーキンソン病等の様々な精神疾患においても、特に症状の重い疾患において自殺率の上昇が指摘されていますが、実際どのくらい高まるのか、あるいは疾患ごとにどのように異なるのかは分かっていません。
今回は、広範な神経疾患について、自殺率の上昇を大きな規模で調べた研究をご紹介します。
デンマークにおける神経疾患と自殺による死亡との関連
15歳以上の7,300万人以上について、死因と神経疾患の有無等に関して調べました(後方視コホート研究と呼ばれる手法)。
神経疾患がなかった場合と比較した、神経疾患患者の自殺リスクに関して、筋萎縮性側索硬化症4.9倍、ハンチントン舞踏病4.9倍、多発性硬化症2.2倍、頭部外傷1.7倍、脳卒中1.3倍……となっており、特に生命予後に関わる疾患では5倍近くのリスク上昇を認めました。
また、診断からの期間によってもリスクは異なり、診断から1~3ヶ月では、神経疾患全般について3.1倍まで上昇することが示されました。
このように神経疾患においても、広範囲に自殺のリスクが高まり、重篤なものほど、診断からの期間が短い場合に、特に注意が必要であることが分かりました。
精神疾患ばかりでなく、特に重篤な神経疾患を合併している場合においても、病状そのものや診断が行われたことによる精神的な影響を配慮しながら、治療にあたりたいと思いました。
#自殺
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