以前から、統合失調症の症状が起こるしくみとしてグルタミン酸が注目されています。
今回は、プロトン核磁気共鳴スペクトロスコピー(proton magnetic resonance spectroscopy; 1H-MRS)という画像技術を用いて、グルタミンやグルタミン酸の代謝を画像的に確認した研究を集めて分析した内容をご紹介します。
年齢・抗精神病薬投与・統合失調症の重症度とプロトンMRSによる脳のグルタミン酸レベル
42の研究(1251人の統合失調症罹患者:平均30.3歳と1197人の比較対象としての健常者:平均27.5歳)が分析に含まれました。
研究はすべて、統合失調症におけるグルタミン酸の代謝を確認する画像所見が含まれているものが選ばれました。
結果として以下の内容が示されました。
①抗精神病薬の投薬を受けている患者では前頭皮質内側でのグルタミン酸のレベルが低下していました。(その結果、年令による低下がはっきりしなくなっていました)
②症状の重症度が大きいほど、グルタミン酸のレベルが増大していました。
つまり、“統合失調症の症状が強いほど、脳内のグルタミン酸レベルが増大し、これは抗精神病薬によって低下する”ことが画像的に確認されました。
実施できる施設も限られ、非常にコストが大きいので、一般的に実施するのは現実的でないかもしれませんが、統合失調症の病気の状態が分かる方法として期待される内容でした。
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