様々な方法で、特定の病気になり易い傾向が少しずつ前もって分かるようになってきています。
その一つに最近、一般にも販売されている遺伝子診断のキットなどがありますが、確かに~(病名)になり易いということが分かっていたら、生活習慣について気をつける等の対策を講じることができて、焦点を絞った健康対策ができるかもしれません。
今回は児童期の神経接続のパターンを調べることでその後の症状変化の予測を行えないか調べた研究についてご紹介します。
発達期における脳の内的構造と注意・気分の症状変化との関連
研究のスタート時点では7歳の、94人の子どもたちが調査の対象となり、4年後にもう一度精神症状の変化について調べられました。
7歳のときには、安静時の脳の働きに関して、機能的MRIと呼ばれる検査を施行しました。
以下のことが示されました。
①内側前頭前野と背外側前頭前野の連絡が弱いほど、注意欠陥症状の予後が良い
②前帯状皮質膝下部と背外側前頭前野の連絡が弱いほど、うつや不安の予後が悪い
上記のような脳の神経接続のパターンが発達早期に認められたときには、その後の精神症状の予測が立ちやすいと言えます。
①に関して「今の注意欠陥症状は落ち着いてくる可能性が高いです」と言えることや、②について「今後、うつや不安の症状に注意が必要ですので、休養を重視してコンディションの調整に努めましょう」等と指針を得ることは、患者さんや保護者にとって大きなメリットがあるように思われました。
#ADHD #うつ病 #児童精神医学
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