脳梗塞や脳出血等の発作(脳卒中)の後、うつ症状が出現することがあります。
このような脳卒中後のうつ状態に、通常のうつ病に使われる抗うつ薬や心理療法が有効なのか、はっきりしていないのが現状です。
今回は、この点に関して過去に行われた多くの研究を分析して得た結果(メタ・アナリシス)のご紹介をさせてください。
脳卒中後のうつに対する薬物療法、心理療法、非侵襲的脳刺激
脳卒中後のうつ症状に対して薬物療法、心理療法、非侵襲的脳刺激を行って評価している45の研究(参加者3342人)が分析の対象となりました。
結果として、薬物療法を行ったときにはうつ病の基準を満たす人数が減少していました。しかし、症状の程度を示す尺度で測った症状軽減の効果は、50%以下に留まっていました。また、全体として心理療法についても、一定のうつ症状軽減を認めていました。
また、薬物療法では、眠気やふらつき等の中枢神経系の副作用や下痢・吐気など消化器系の副作用が認められました。
つまり、現在のところ、脳卒中後のうつ症状にたいして抗うつ薬等の薬物療法を行うことは考えられるが、効果は大きくなく、副作用等に注意しながら慎重に用いるべきである、ということになります。また、心理療法や非侵襲的刺激法については研究の数(参加者数)も少なく、あまりはっきりしたことは言えないのが現状です。
脳卒中後で神経学的な後遺症がある場合には特に転倒などにも注意を要すると思われます。身体的な条件についても配慮しながら慎重に治療を行う必要性を感じました。
#うつ病
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