事故や災害などの心的外傷を受けた場合でも、その後PTSDを発症する場合とそうでない場合があります。
今回は、そのような発症/非発症に影響する要因を、若年者において調べた研究をご紹介します。
Risk Factors for Long-term Psychological Effects of a Disaster Experienced in Adolescence: Predictors of Post Traumatic Stress Disorder
思春期において経験した災害に関する長期心理的影響のリスク因子: PTSDのリスク因子
船舶事故にあった217人の若年者を対象に、5~8年後の経過を調べました。
影響する要因として、主には事故以前の子ども自身あるいは家族の脆弱因子、サポートの有無などの事故後の因子が考えられました。
結果として、以下の内容が示されました。
・事故前の要因として、本人の学習や心理的困難、家庭での暴力的環境、事故自体の要因として、暴露の程度、事故後の要因として、その経験を本人がどのようにとらえるか、環境適応(調整)、ライフイベント、社会的サポートが影響を与えていました。
・特に暴露の程度、事故をどのようにとらえるか、事故後5か月の不安尺度の得点がPTSD発症と関連を示していました。
・PTSDを発症した場合、その重症度と継続期間は、事故前の社会的、身体的、心理的困難、事故後5か月の不安尺度の得点、学校でのサポートと関連を示していました。
要約:『災害や事故後に、PTSDを発症するかどうかには、様々な要素が関与し、暴露そのものの影響以外にも、認知的な側面の影響も大きい』
PTSDにおける事故前、事故そのもの、事故後の要素の影響を分けて、発症や遷延の要因を考える契機となる内容でした。
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