病的な不安やうつ等の精神症状が12歳以下の子ども時代にも高頻度で起こっていることが指摘されています。
一方で、子どもに対する心理療法を行うことのできる専門家は非常に少なく、さらに治療を受けられたとしても非常に高額であることが知られています。
今回は、子どもに対する心理療法について、親による認知行動療法と、他の心理療法(専門家による「解決志向ブリーフセラピー」)とを効果や費用の面から比較した研究をご紹介します。
子どもの不安障害に対する親による認知行動療法と解決志向ブリーフセラピーの臨床経過と費用対効果
5~12歳の不安症状で紹介された136人が調査の対象となり、指導の元に親が短期の認知行動療法を行うグループと専門家による解決志向ブリーフセラピーを行うグループに別れて、効果や費用について調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①(CGI-Iという効果を測るための指標で)親による認知行動療法で40人、専門家による解決志向ブリーフセラピーでは47人が明らかな効果を認めていました。(これは統計的には意味のある差ではありませんでした)
②費用に関しては親による認知行動療法の方が、448英ポンド安くなっていました。(現在、英ポンドはおよそ130円)
つまり、指導を受けた親が行う認知行動療法のほうが、効果はそれほど変わらないが、かなりコストパフォーマンスが良いということになります。
通常、専門家による心理療法のコストは非常に大きく、治療効果が大きく変わらないのであれば、(特に悪化する前に、時期を得て行うことができる場合には)親による認知行動療法も考えられる選択肢であると思われました。
#不安 #児童思春期 #認知行動療法
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