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執筆者の写真もりさわメンタルクリニック

質問を加えることによって自殺の危険性をより正確に評価する

海外のプライマリ・ケア(専門医にかかる前の初期医療)で患者の精神状態を知るためによく使われる尺度として、Patient Health Questionnaire–9 (PHQ-9)があります。(日本でも看護や援助で使われる場所が増えています)


このPHQ-9の第9項目に、この2週間で「死んだ方がましだ、あるいは自分を何らかの方法で傷つけようと思ったことがある 」という内容があります。


しかし、自殺を行う人で、実際にこの質問で「はい」と答える人は少ないことが指摘されています。


今回は、これにもう少し質問を加えることで、自殺企図を行う可能性を正確に評価できないか調べた研究をご紹介します。


高リスクの患者を特定できるように自殺スクリーニング検査を改善する


軍関連の医療施設(プライマリ・ケア)を受診した18~89歳の2,744人(平均40歳)が対象となりました。


受診後30日間で、そのうち13人(0.5%)が自殺関連の行動を行い、90日間では28人(1.0%)でした。


質問内容でどのくらい正確に自殺関連行動をした人を評価できるのかを調べました。


結果として、以下の内容が示されました。

①PHQ-9の9項目では、自殺を行った人の4.1%について陽性の評価を行っていました。

②PHQ-9の9項目に他の尺度:Suicide Cognitions Scale (SCS)のうち「もう、私は生きる価値がないと思う」を加えると、陽性の割合が7.6%に増加していました。


つまり、“わずかに質問を工夫することで、自殺の危険性が高い人を早期に発見できる可能性がある”ということです。


他に有用な質問として、「この混乱にこれ以上耐えられそうにない」、「こんな苦痛に耐えられる人を想像できない」が挙げられています。


いずれにしても、やや心情的な内容の質問を加えることで、自殺の危険性をより幅広く捉えることができる可能性が考えられました。

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