躁うつ病の原因についてはまだ明確なことは分かっておらず、一部では神経伝達物質のドーパミン系の異常が指摘されています。
今回は、ドーパミン系の異常を来す神経内科的疾患であるパーキンソン病と双極性障害との関連を調べた研究(メタ・アナリシス:複数の論文を統合して信頼性の高い結果を得るため分析を行う研究)をご紹介します。
双極性障害におけるパーキンソン病発症のリスク
検索の結果、双極性障害と非双極性障害のパーキンソン病発症リスクの違いに触れた論文7つ(4,374,211人の参加者を含む)が統合の基準に合致しました。
まず、全体としてみると双極性障害があった場合、パーキンソン発症リスクは3倍程度(オッズ比:3.35)に増加していました。
また、バイアス(研究結果に偏りを生む要素)が生じやすいと考えられる研究を除いても、この結果は維持されており(オッズ比は3.21と微減)、概ね一貫していました。
双極性障害の治療にパーキンソン症候群が副作用として生じる薬剤を用いることもあるため、経過中にパーキンソン病類似の症状が出現した場合には、本当にパーキンソン病を発症していないか見分ける必要性を感じました。
Comments