欧米では遠隔で行う心理療法に関して有効性の証拠が蓄積されつつあります。
今回は、特に不眠に対する認知行動療法で、遠隔で行う方法が直接対面して行う方法に劣らないかを調べた研究をご紹介します。
不眠に対する認知行動療法の遠隔と対面を比較するランダム化非劣性試験
睡眠障害の診断が行われている60人を、遠隔の認知行動療法/対面の認知行動療法/何もせずに待機に分けました。
6~8週間にわたって遠隔(ビデオ通話)による認知行動療法か、クリニックでの対面式認知行動療法を行い、3ヶ月までの様子をみました。
結果として、以下の内容が示されました。
①まず、何もせずに待機していたグループに比較して、遠隔も対面も、認知行動療法を行ったグループは大きく(今回用いた尺度Insomnia Severity Index で7点以上)の改善をしめしていました。
②次に、症状の減少が遠隔で7.5点、対面式で7.8点であり、大きな差はありませんでした(実感される効果として差があるとは考えられませんでした)。
つまり、“不眠に対する認知行動療法は遠隔で行っても、対面式と大きな差がない程度に効果がある”ということです。
遠隔式でも、対面式でも、形式に関わらず認知行動療法等の心理療法を広く届けられる環境が整うことが望ましいと思われました。
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