長年、治療抵抗性うつ病に対しては、電気けいれん療法(ECT)が最も有効な治療法として認められてきました。
しかし、使用中にけいれんが生じること(実際には現在異なる方法が行われています)や通電の危険性に対するイメージ等から、現在では実施する医療機関は減少しています。
今回は、電気けいれん療法(ECT)の実際の危険性があるのか調べようとした研究をご紹介します。
Risk of serious medical events in patients with depression treated with electroconvulsive therapy: a propensity score-matched, retrospective cohort study
電気けいれん療法(ECT)を受けたうつ病患者における医療事故の危険性
10,016人分の入院データ(6628人が女性、平均56.6歳)が分析の対象となりました。
症状の重症度等の条件を同等にしてマッチングを行い、電気けいれん療法(ECT)によって医療的事故が生じる危険性や自殺の起こる割合等を評価しました。
結果として、以下の内容が示されました。
・電気けいれん療法(ECT)を受けたグループとそうでないグループで、医療的事故の割合は変わりませんでした(人年で示した件数は、ECTで0.25 vs 非ECTで0.33)。
・自殺が起こる割合はECTで低くなっていました。
・ECTの実施は、他の原因による入院や自殺以外の死亡についても関連を示していませんでした。
要約:『電気けいれん療法(ECT)は自殺の防止に有効で、医療事故とは関連しない』
証拠を見た限りでは、電気けいれん療法(ECT)は今までの定評通り自殺の防止に有効であり、一般的イメージと異なり危険性は低いようです。
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