筋萎縮性側索硬化症(ALS)が進行した場合で、眼球運動等わずかでも筋の運動が残されている場合には、残存機能で意思表示を援助する仕組みが考えられてきました。
今回は、麻痺がさらに進行して、筋肉の運動が認められない状態でも、脳の電気活動を感知する装置を埋め込み、文単位のコミュニケーションが可能ではないかという内容の研究をご紹介します。
ロックイン状態の患者における皮質の信号を用いた叙述装置の有効性
2015年に発症し、全身麻痺の状態となっている34歳のALS患者が対象となりました。
64の端子を持つ装置を運動野に埋め込み、電気的信号を感知することで、叙述を行うことを可能にしました。
聴覚的にフィードバックを行い、綴られた叙述内容の調整を行ったところ、観察を行った107日のうち44日間は1分間に一文字の叙述を行い、介護者との意思疎通が可能であったとのことです。
つまり、“脳の電気信号を直接感知することで、全身の筋肉が動かない場合でも、コミュニケーションが可能であるかもしれない”と言えそうです。
今までにも同じテーマに関する報告があり、研究の妥当性に議論のある領域ですが、今後このような、“ロックイン”の状態でもコミュニケーションが可能となるかもしれないと期待させる内容でした。
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