高齢者のうつ病は、うつ症状や不安が認知症の初期症状のこともあり、判断が難しい場合があります。
身体症状や軽度の活動性低下を伴うときには加齢による変化や身体疾患との区別がつきにくい例もあります。
また、転倒や嚥下障害、内臓機能への影響を考えると、薬物療法においても年齢を考慮する必要があります。
今回は、このような諸条件とは別に、自然経過としても高齢者のうつ病は治りにくいのかを調べた研究をご紹介します。
年齢とうつ病の経過との関連
オランダにおける研究で、対象は18歳~88歳のうつ病と診断された1024人です。
2年間の経過が調査され、(冒頭で述べたような臨床的な条件を調整した後でも)年齢が高いほどうつ病の経過は重症のまま経過し、寛解が少ないことが分かりました。
例えば、最も高齢のグループ(70歳以上)では、最も若いグループ(18~29歳)に比べて、2年後でもうつ病の診断が2.02倍、うつ症状の慢性化が3.19倍となっており、症状が悪化している場合にはより大きな悪化(評価尺度の点数で-12.64 vs -5.57)となっていました。
認知機能の低下を伴う場合などの治療の複雑化や薬物療法の制限など、考慮しなければいけない点はありますが、高齢だからこそ、うつ症状に対して早期に集中的な治療を行う必要性が存在すると考えられました。
#うつ病
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