<訪問診療対応>
診療時間
月・金(午前のみ)火水土(午前・午後)
午前 10:00~14:00/午後 16:00~20:00
<休診>
木日祝 月・金曜午後(訪問診療)
※検査についてのご予約は電話でお願いします。
磁気刺激によるうつ病(うつ状態)の治療です。
一度のお試し・相談だけでも大丈夫です。ご興味がある方は電話で相談を受けております。または、問い合わせフォームから、メールアドレスか電話番号、件名に「rTMS相談希望」と記入し送信してください。当院から御連絡させて頂きます。
※一日に複数回(最大3回)のセッションを行う加速型rTMS(Accelerated rTMS)を開始しました。実施期間の短縮が可能です。
「不登校・ひきこもり講座」
※今年の12月で終了の予定です。
※録画配信のみとなりました。
内容: 不登校・ひきこもりの対応
主には不登校の保護者対応についての内容です。
発達障害
Deplopmental
Disorder
特に最近、「発達障害」と一般的に言われるものには以下のようなものがあります。
・自閉症スペクトラム障害(ASD)
※以前は広汎性発達障害やアスペルガー症候群とも呼ばれていました。
・注意欠陥多動障害(ADHD)
・知的障害
※普段の生活では気づかれない軽度のものも含まれます。
・学習障害(LD)
(算数障害、読字・書字障害、協調運動障害等)
以下で、それぞれについて説明していきます。
自閉症スペクトラム障害(ASD)
国際的診断基準(DSM-5)は以下のようになっています。
A. 社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥
B. 行動、興味または活動の限定された反復的様式(こだわり・常同性)
C. 症状は発達早期に存在する(社会的要求水準が能力の限界を超えるまでは明らかにならない可能性)
*新しい国際的診断基準のDSM-5では名称が「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」で統一され、分類はなくなりました。
*ローナ・ウィングが提唱した「自閉症スペクトル理論」では①対人関係への関心が薄く、社会性に問題を抱えている、②言語を始めとしたコミュニケーション能力に明らかな遅れがある、③想像力の障害を持っているため、興味や活動の範囲が限られ、反復的な行動や物事を同一に保とうとする「常同性」の欲求がみられることが主要な特徴(三つ組の障害)と言われます。
自閉症スペクトラム障害の特徴について、もう少し具体的に説明すると以下のようになります。
社会性障害:人との関わりの持ち方の障害。相互の応答性が低く、相手の意図が読み取りにくい。新しい関係を作ったり、立場に応じた適切な社会的関係を維持できない。場に応じた振る舞いが分からない。注意や批判を受けても、その意味が不可解であることが多く、不当に感じる等。
コミュニケーション障害:言葉や言葉以外の意思の疎通に関する障害。言語能力は正常だが、コミュニケーションの拙劣さや反応の遅延が目立つ。自分自身の気持ちや感情、感覚が自覚され難く、感情が言葉にならない。非言語的なコミュニケーションである視線や表情をどのように使用してよいか戸惑うことが多い等
イマジネーション(想像力)障害:人の立場でものを考えたり、一つの学習内容から応用して一般化する時にも必要な能力の障害。相手の視点で物事をとらえることがむずかしく、感情や気持ちが分かりにくい。相手の行動に対する予測を行いにくい。経験から学ぶことが難しく、同じ間違いを繰り返す傾向がある。知識はあるが応用がきかず、学習された内容が一般化されにくい等
反復的活動:興味・関心の幅が狭く、行動が全体として反復的になる様子がみられること。新しい場面での緊張、不安が非常に強い。人が気づかない細かいことには気づくが、全体には目が行き届きにくい。複数の課題が同時に与えられた場合、時間配分・優先順位をつけにくく、混乱する等
注意欠陥多動障害(ADHD)
⇒「落ち着きや忍耐力のなさ、不注意(その一部だけのこともある)」が主な症状。
・もう少し具体的に症状を述べると以下のようになる。
1)注意の障害(不注意):ちょっとした刺激で気が散りやすく、勉強や遊びに集中できないことが多い。一つのことを始めても、気が散って最後までやり終えることができない。
2)多動 :落ちつきがなく、活発過ぎる傾向があり、迷子になったり、教室で静かにするように言われてもウロウロしてしまったりする。
3)衝動性:待つことが苦手で、相手が話しているときに割り込んで話し始めてしまったり、思い立ったらすぐに行動してしまったりする。道路に飛び出したりするなど、危険なことも多い。
・情報や大切なものを一か所に集中させたり、一見過剰なくらい余裕をもった行動計画を立てるなど、生活上の工夫を積み重ねていく他、薬剤(コンサータやストラテラなど)が有効なこともある。
知的能力障害(精神遅滞)
診断基準によって呼び方が異なります。
*「知的能力障害」:DSM-5 「知的発達障害」:ICD-11 「精神遅滞」:ICD-10
国際的診断基準(DSM-5)は以下のようになっています。
A. 臨床的評価および知能検査で確認される知的機能の欠陥
B. 発達的または社会文化的な水準を満たすことができないという適応機能の欠陥
C. 発達期の間の発症
精神遅滞とIQ(16歳以上:WAIS 16歳未満:WISC)の関連
ICD-10に記載されている内容は以下のようになっています。
軽度精神遅滞:50-69
中等度精神遅滞:49-35
重度精神遅滞:34-20
最重度精神遅滞:19以下
知的能力障害(精神遅滞)の原因としては以下のようなものがあげられます。
①生理因:正常変異に由来する脳の発達障害による知能の低水準への偏位
②病理因:病的遺伝子、染色体異常、胎生期・周産期・出生後に脳に病的変化をもたらしうる原因
③心理・社会因:未開社会や隔離された環境、長期の不適切な養育
上記②のうち「病的遺伝子」によるものの代表的なものとして、以下のものがあります。
フェニルケトン尿症:精神遅滞の背景にある先天的な生化学的異常が遺伝形式とともに初めて解明された疾患で、精神遅滞研究のモデルの役割を果たした点でも重要。人口6-7万人に1人。フェニルアラニン水酸化酵素の機能不全によりフェニルアラニンが蓄積する。症状として精神遅滞、けいれん発作、色素不足などがある。新生児マススクリーニングの対象疾患で、特に6ヶ月未満で発見しフェニルアラニン制限食を開始すれば、知能発達の改善が見込める。
上記②のうち「染色体異常」によるものの代表的なものとして、以下のものがあります。
ダウン症候群:出生1000人に1人、精神遅滞の6~12%。常染色体異常(No.21 trisomy)によって起こることが明らかにされ、精神遅滞研究の一つの契機となった。特に45歳以上の出産では出現率が高まる。知能は中等度精神遅滞程度、短顔・低い鼻・外上方につり上がった目じり・緩んだ口元などの顔貌、太く短い手指などの身体的特徴をもつ。
上記②のうち「胎生期・周産期・出生後の異常」の具体例として、以下のものがあります。
胎生期:感染症(風疹、梅毒、トキソプラズマ)中毒症(有毒ガス、薬物、ニコチン、アルコール)、栄養障害、妊娠高血圧症候群
周産期:出産障害、高ビリルビン血症(核黄疸)
出生後:感染症や外傷など
学習障害(LD)
特に学齢期に明らかになる「読み・書き・計算・運動」の遅れです。学習の機会がなくて身につけられなかったものは除きます。
1)読字/書字障害:ひらがなの覚えがおそく、拾い読みや省略などが頻繁に起こります。ひらがなのを裏返しに書いたり、基本的な漢字の書き方がいつまでも間違っていたりします。
2)算数障害:足し算・引き算などの計算の考え方の基本が身につきにくい傾向があります。
3)運動の障害:靴ひもが結べない、ボタンをかけることができない、ボールを投げたり受け取ったりなどの動作の不器用であったりして気づかれます。
大切なことはまずこのような障害の存在に気づくこと、いわゆる本人の「怠け」ではなく、習得の困難さがあることを認識することです。
その上で、通常よりはゆっくりのペースで工夫をしながら根気強く指導を行うことで、習得できることが徐々に増えていきます。
合併する疾患(2次障害・併存障害といわれるもの)
うつ、不安、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、被害関係念慮、不眠、様々な身体症状が現れることが多いです。
診断の難しさについて
発達歴が鍵を握ります。しかし、思春期以降になってからの診断においては正確な情報の入手が困難な場合も多いです。さらに、症状が軽度だからこそ今まで診断がついていないという事情もあり、診断の正確さには微妙な側面があります。
「発達障害」の考え方自体が白黒が明確なものではなく、「スペクトラム(症状の程度の差が少しずつで連続しているもの)」となっています。
診断の概念(考え方)そのものが境界になじまないところもあり、診断をさらに難しくしています。でも、現実世界では何らかの診断をつけないと制度の利用や薬剤の使用ができないという「境界の必要性」があります。
診断を伝えるときに考慮したい条件
①やりようがあるという実感や長所でもあるということを伝えられるか
③言語理解が十分か
④自他の相違への気づきがあるか
職場や家庭での生活が困難となった場面で、本人に我慢させたり言い聞かせたりするための方法として診断の「告知」を行うのは不適切と思われます。
特に上記の①に注意して行いたいところです。そうでないと、自身の特性を欠陥として捉えてしまったり、自己の存在すら否定的に感じてしまう場合もあるように思われます。
薬物療法
症状と処方の例をあげると以下のようになります。
※できるだけ最小の種類と量で、依存性や薬剤過敏性に配慮しながら行うことが重要です。
強い焦燥や情動不安定→抗不安薬、抗精神病薬、気分安定薬
妄想や幻覚などの統合失調症様の症状→抗精神病薬
うつ症状、強迫症状(生活に支障のあるこだわり)→抗うつ薬(SSRIなど)
不安や焦り→抗不安薬
不眠→睡眠導入剤、抗不安薬、抗精神病薬
注意集中困難、多動→いわゆる抗ADHD薬(コンサータ、ストラテラ、インチュニブ)
心理的援助
心理的な支援の例をあげると以下のようになります。
①動機づけを行う視点
(目標について話し合ってみよう)
②対人交流を促す視点
(人づきあいも案外悪くないという体験)
③リソースを生かす視点、増やす視点
(好きなこと、得意なことは? 無ければ、嫌いじゃないこと、苦手じゃないことは?)
④理解を助ける視点(伝え方を工夫する)
*構造化、視覚的援助を含む
⑤行動を提案する視点(押し付けずに提案する)